2008/02/01熊本日日新聞記事「進むマグロの水銀汚染」について
記事の概要
米国新聞「ニューヨークタイムズ」は、ニューヨーク市内の寿司店などのマグロを独自に調査し、その一部から高水準の水銀が検出されたと報道しました。
同紙によると、ニューヨーク市内の寿司店13店とスーパーなど7店のマグロを使った寿司の品質調査を医学校に依頼した結果、5店のマグロから米食品医薬品局(FDA)が販売停止とできる基準値である1ppm以上のメチル水銀が検出されたとのことです。
これを受け、熊本日日新聞が2月1日の朝刊紙面で「進むマグロの水銀汚染」との見出しで記事を紹介しています。
そこで、マグロの水銀汚染は進んでいるのかという点について解説しましょう。
マグロの「水銀汚染」は進んでいるのか
結論から先に述べると、マグロ類などの大型肉食魚のメチル水銀濃度が高いことは、必ずしも水銀汚染が進んでいるということではありません。
マグロなどの大型肉食魚ではもともとメチル水銀濃度は高い
マグロ類やサメなどの大型の肉食魚やイルカなど歯クジラ類ではメチル水銀濃度が小型の魚より高くなりやすいことはかなり以前から知られています。
これらの肉食魚や歯クジラ類などの中には、メチル水銀の濃度が上記の記事のように1ppmを越えるものがいることも、従来から分かっています。
主な原因は、自然界にある水銀がメチル化し,食物連鎖を通じて大型の肉食魚などに蓄積するためです。石炭燃焼など人間の活動によって発生するメチル水銀もまったく寄与していないわけではありませんが、自然界に元々存在している量は莫大なのです。
国水研のホームページでは、いろいろな魚介類の水銀濃度データや自然界の水銀動態について掲載していますのでご覧ください。
魚は食べても大丈夫か
上に述べたように自然界にもともとある水銀が食物連鎖で大型魚介類に蓄積するわけですから、これら大型の魚介類の水銀濃度を下げることは不可能であり、水銀濃度の低いマグロだけを捕って食べる、ということも現実的ではありません。
国水研で行った調査によると,魚とくにマグロなどの消費量が高いわが国では、体内のメチル水銀レベルが米国などに比べて高いことも分かっています。
それでは、魚とくにマグロは食べてはいけないのでしょうか。そのようなことはありません。現在のメチル水銀のレベルは、ただちに健康に影響があるレベルではありません。
魚にはメチル水銀をはじめ有害な物質も含まれていますが、不飽和脂肪酸など健康や発育に役立つ成分も多く含まれていて、総合的に考えると、やはり、魚はすぐれた食品であるといえます。
ただし、妊娠中の方は、特に感受性の高い時期にある胎児への影響がないよう、メチル水銀が比較的高いカジキ・マグロなどの食べ過ぎには注意した方がよいでしょう。妊娠中の魚貝類の食べ方についてはこちらに掲載していますのでご覧下さい。
魚を摂取することによって体内に取り込まれる微量のメチル水銀による健康影響については、現在、国水研を含む世界中の研究機関で調査研究を進めています。国水研ではこれらの研究の動向や成果についてもお知らせしてまいりますのでご覧下さい。
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